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鋼構造体の設計に鋼材の破壊靱性を合理的に反映させる
基準認証研究開発事業「鉄鋼材料の破壊靱性評価手順の標準化」 (2002〜2004年度)

 建築、橋梁・パイプライン等の社会インフラ、船舶などの鋼構造物への性能要求はますます高まっており、高強度・高性能鋼材の適用を考慮した設計技術の進歩が望まれている。構造物の安全性の観点から鋼材の脆性破壊を防止することは必須要件であるが、小型の標準試験片を用いて得た靱性値を鋼構造物の設計に反映させる手法は未完成であり、新規に開発される高性能鋼材の活用が阻害される一因となっている。鋼構造物の設計に鋼材の破壊靱性を合理的に反映させる手法を確立し、国際規格(ISO)に結びつけることにより、高性能鋼材の市場拡大に貢献させる。

 本事業は、産業競争力を高める国際標準戦略の一環として、経済産業省からの委託を受けて実施されている。鉄鋼素材メーカー、ユーザー並びに大学の参画の下、脆性破壊現象を合理的に評価する手順の明確化に向けて、応力解析、並びに実鋼構造物に負荷される応力場を想定した破壊実験を実施している。標準破壊靱性試験片の破壊靱性値(CTOD)を与える局所的な応力(ワイブル応力)と等価な局所応力が鋼構造物に存在することが破壊発生の条件である、との最新の破壊力学理論に立脚した考え方が検証されつつある。鋼構造物では一般に塑性拘束緩和現象に伴う局所応力場の低下が存在するため、安全設計のウインドウが拡大することも検証されており、その成果は高性能鋼材の利用拡大に貢献すると期待される。

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